低用量ピルFAQ
低用量ピルについて
低用量ピル(oral contraceptives) は女性自身で妊娠と月経をコントロールできる、安全性と確実性が高い避妊方法です。 当院はトリキュラー、マーベロン(低用量ピル)を取り扱っています。
低用量ピル(OC:oral contraceptives)には女性ホルモンが含まれています。経口避妊薬、
とも呼ばれます。毎日一回服用することにより排卵を抑制し、子宮内膜の増殖も抑えます。低用量ピルには、コンドームよりも高い避妊効果があります。正しく服用すれば、99.7%避妊ができます(コンドームの避妊率は98%)。 ピルと同じくらい確実な避妊法としては、IUD や不妊手術があります。ただし、これらの方法は出産経験の無い人には適しません。 低用量ピルを内服することで「望まない妊娠」からあなた自身を守ることができます。
低用量ピルについてのFAQ
Q
低用量ピル処方における検査は?
A
当院では簡単な問診を行い、問題なければその場でお渡しいたします。
症状や必要に応じて血液検査等を実施します。
Q
低用量ピルの避妊のメカニズムは?
A
高確率で避妊をすることが可能です。
低用量ピルは、女性の身体の3つのメカニズムに作用して妊娠を防ぎます。
1.卵胞を成熟させるホルモンの分泌がおさえられるため、 排卵がおこりません。
2.子宮内膜(子宮の内側)の増殖を抑え、着床しづらくなります。
3.子宮頚管(子宮の入り口)の粘液を変化させ、精子が子 宮へ入りにくくなります。
ピルによってこれらの一連のメカニズムが働き、避妊が可能となります。
※1 低用量ピルに含まれるホルモンの働きにより脳下垂体は「妊娠した」と、感知します。実際には妊娠していないにも関わらず、「勘違いしている」状態です。この結果、排卵を促す際に必須である黄体化ホルモン(LH)の分泌が抑制されます。卵巣は排卵する必要が無くなり、休眠した状態になります。
ピルの服用を中止すれば、脳下垂体は「妊娠状態が終了した」と判断し、再び卵巣を刺激して排卵を促します。
Q
低用量ピルの成分は?
A
ホルモン量の違いによって1相性ホルモン剤、3相性ホルモン剤に分かれます。
トリキュラー(3相性ホルモン剤)は、ホルモンの量が3周期で変わるため、体の自然なホルモン周期に近い形で作用します。
ホルモン量:
①第1週目(1~6錠):エチニルエストラジオール 0.03mg + レボノルゲストレル 0.05mg
②第2週目(7~11錠):エチニルエストラジオール 0.04mg + レボノルゲストレル 0.075mg
③第3週目(12~21錠):エチニルエストラジオール 0.03mg + レボノルゲストレル 0.125mg
トリキュラーは、服用時にエストロゲン(エチニルエストラジオール)とプロゲスチン(レボノルゲストレル)の量が少しずつ変化するため、1相性ピルと比較してホルモン量の調整が行われ、体に負担が少ないとされています。
マーベロン(1相性ホルモン剤)
エストロゲンとプロゲスチンという2種類の女性ホルモンを含む低用量ピルです。
ホルモン量:
①エチニルエストラジオール(エストロゲン):0.03 mg
②ソゲストレル(プロゲスチン):0.15 mg
これらの低用量ピルは、比較的近いホルモン量に抑えられているため、体への負担が軽減されることが特徴です。また、ホルモン量が低いことで、副作用のリスクも比較的低いとされています。
Q
低用量ピルの副作用は?
A
ピルに含まれるプロゲステロンは体に水分をため込む作用があるため、数パーセントの方で体のむくみを生じます。
ピルを内服しているときは、妊娠時のホルモン状態に近くなります。すなわち副作用は妊娠における『つわり』の体調不良に似ています。ピルの内服をスタートしてから以下の症状が起こる場合があります。これらの副作用はほとんどの場合一時的で、服用を続けることで症状が緩和されることが多いですが、個人差があります。以下に一般的な副作用と発生確率を示します。
①悪心・嘔吐 1.2~29.2 %
②頭痛・片頭痛 3.4~15.7 %
③浮腫 1.0~3.2 %
④にきび 0.1~2.9 %
⑤体重増加 0.8~2.2 %
⑥めまい 0.2~1.0 %、
⑦ふらつき 0.3 %、
⑧不正出血 12%~20%
仮にこれらの症状が起こっても、2、3か月以上内服を継続することで、ほとんどの方が症状は消失します。
※頭痛 もともと片頭痛がある方で頭痛の前に視界に光が点滅するような「前兆」がある方は内服による脳卒中のリスクが高まるため処方はできません。
※不正出血が半年以上持続する場合は他のご病気の可能性があるので、婦人科を受診されてください。
⑨血栓症
最も重大な副作用に血栓症があります。このため血栓症の既往がある方、35歳以上で1日15本以上タバコを吸う方、BMIが30以上の方はピル服用による血栓症のリスクが高く、処方することができません。
ピルを飲んでない方と飲んでいる方のそれぞれの血栓症の割合は、
ピルを飲んでない方で1万人あたり1~5人、
ピルを飲んでいる方で3~9人で、
飲んでいる方が若干リスクは上がりますが、リスクは依然として非常に低い範囲にあります。血栓症は服用を始めて最初の3ヶ月以内が最も起こりやすいとされています。血栓のほとんどが下肢にできるので、内服してから足が痛くなったり、むくんだりするときは早々にお近くの循環器内科にご相談下さい。
低用量ピルの副作用が気になる場合や症状が重い場合、他の種類のピルへの切り替えも可能です。
また現行品のピルはプロゲステロンの減量によりむくむ確率はかなり少なくなっています。
Q
低用量ピルの成分は?
A
低用量ピルはエストロゲンとプロゲステロン類似ホルモンを含んでいます。ピルを服用すると、それらのホルモンの働きにより脳下垂体は「妊娠した」と、感知します。実際には妊娠していないにも関わらず、「勘違いしている」状態です。この結果、排卵を促す際に必須である黄体化ホルモン(LH)の分泌が抑制されます。卵巣は排卵する必要が無くなり、休眠した状態になります。
ピルの服用を中止すれば、脳下垂体は「妊娠状態が終了した」と判断し、再び卵巣を刺激して排卵を促します。
Q
低用量ピルをやめた後いつから妊娠できるか?またピルにより妊娠しなくなる可能性は?
A
低用量ピル(経口避妊薬)を中止した後、妊娠が可能になるまでの期間は、個人差はありますが、一般的には以下のような傾向があります。
1. 排卵の再開
ピルを中止すると、通常、数週間以内に排卵が再開されます。低用量ピルはホルモンを補うことで排卵を抑えているため、服用をやめると自然なホルモンバランスが戻り、排卵が復活します。多くの人は1~3ヶ月程度で通常の月経周期に戻ります。
2. 妊娠の可能性
低用量ピルの中止後、すぐに妊娠する可能性もあります。月経周期が通常通り再開されていれば、すぐに妊娠することも可能です。多くの人が数ヶ月以内に妊娠を希望することができ、特に半年以内には多くの人が妊娠に至ります。
3. 妊娠の確率
ピル中止後は通常の排卵が再開されるため、低用量ピルを内服する前と内服中止後の妊娠できる確率は変わりません。
Q
低用量ピルはいつから飲み始めればいいのですか?
A
低用量ピルの内服方法です。
①生理が始まって5日以内に内服を開始します。
②1シート目の1番(飲む順番ごとにお薬に数字が記載されています)からスタートしてください。
③毎日決まった時間に1錠ずつ内服をしてください。数時間ずれても避妊効果は落ちませんが、時間が大幅にずれるとホルモンバランスが崩れて不正出血の原因となります。
④内服開始から8日目以降は妊娠しなくなります。
⑤内服スタートから24日目から26日目に次の生理が始まります。(ピルを継続していくと毎回シートの24から26日目に生理が来るので、生理不順はなくなります)
⑥生理中も欠かさず内服をして最後の28錠を飲みきったら、2シート目をスタートしてください。
⑦2シート目は1錠目の初日から避妊状態となっています。
※避妊が必要なのは1シート目の最初の7日間(7錠目)までです。
※ピルを飲んでいる間の生理周期は28日間となります。
Q
低用量ピルのメリットは?
A
低用量ピルは避妊効果だけでなく、女性に以下のようなメリットをもたらすことが広く知られています。
1. 生理が軽くなり(生理痛、出血量ともに)、生理周期が安定する
2. 生理前のイライラ(PMS)がなくなる
3. ニキビ、肌荒れを治す
4. 子宮体がん、卵巣がんになりにくくなる
5. 子宮内膜症が治る
6. 乳房の良性腫瘍の発生率が下がる
Q
低用量ピルと乳がんのリスク
A
低用量ピル(経口避妊薬)と乳癌リスクの関連については、研究によって異なる結果が報告されていますが、いくつかの重要なポイントがあります。
-
乳癌リスクの増加: 一部の研究では、低用量ピルの使用が乳癌のリスクをわずかに増加させる可能性があると報告されています。このリスク増加は、特に若年で使用を開始した場合や、長期間にわたって使用した場合に見られることがあります。ただし、その増加率はごく小さいとされています。
-
使用中止後のリスク: 低用量ピルの使用を中止すると、乳癌リスクは徐々に低下し、最終的には使用前の状態に戻ると考えられています。一般的には、5~10年ほどでリスクが元に戻るとされています。
-
年齢と遺伝的リスクの影響: 乳癌のリスクには年齢、家族歴、遺伝的要因など多くの要因が影響します。特に乳癌の家族歴がある場合は、リスクがさらに高まる可能性がありますので、ピル使用の決定は慎重に行うべきです。
Q
低用量ピルと子宮頸がんのリスク
A
OC服用により子宮頸がんの発がん率はわずかに増加するといわれています。
その割合ですが、
20~30歳から10年間内服すると、50歳までの頸癌発生率は1000人当たり3.8人~4.8人程度と言われています。一方で内服を中止することで頸癌の発生率は低下をします。
このためピルの内服中は定期的な婦人科検診を受けるようにされてください。
定期健診を受けることにより、頸癌の早期発見から子宮切除や卵巣切除などの手術を避けることができます。
Q低用量ピルを飲み忘れた場合の対応
A飲み忘れた場合の対処法を下記に記載します。
1.最後に服用した時刻から24~48時間未満
できるだけ早く飲み忘れた錠剤を服用してください。そして当日の分はいつもの時間に服用してください。
2.48時間以上経過した場合
お薬を飲むのを中断し生理が来るのを待ってください。生理が始まれば新しいシートの1日目から再開してください。
Q
生理予定日の移動方法
A
月経移動方法を記載します。
トリキュラー(3相性ホルモン剤)を用いる場合
トリキュラーは、1~6,7~11、12~21錠目までが同じホルモン量です。
1.生理日を遅らせる場合
偽薬(22~28錠目)以外の同じ色の薬の後に1~2錠追加で服用して(例えば6錠目まで飲んだら別のシートの1~6錠目の薬を1~2日間飲んで)、その後、元のシートの7錠目からを飲み続けることで1~2日間生理が来るのを延長できます。1周期の間に6~7日以上は延ばさないほうが無難です(途中で出血が始まることがあるため)。
12~21錠目の薬以外は1~3錠くらいまでとしてください。
2.生理を早める場合
ホルモン量が多い後半の薬を使用します。生理を起こしたい日程から逆算して14日間以上(14日間で生理を起こしたい場合は8~21錠目の薬を飲む)飲んでもらったら最大7日間生理を早めることができます。
マーベロン(1相性ホルモン剤)を用いる方法
マーベロンは実薬(ホルモンが含まれている)21日分と偽薬(ホルモンが含まれていない)が7日分入っています。
1.月経を遅らせる場合
偽薬を飲まずに続けて次のシートの実薬を飲むと、生理が来ない状態を維持できて生理を遅らせることができます。生理が始まっていいタイミングになったら、服用を止めると1~3日後に生理が起こります。
具体的には、1~21日目までの実薬を飲み終わったら、翌日から新しいシートの実薬を生理を延長したい時まで1日1錠服用してください。生理が始まっても良い日になったら元のシートの22日目からの偽薬を7日間服用して下さい。その後、また別の新しいシートを1日目から開始してください。
2.生理を早める場合
実薬の21日分を終えるより早く薬の服用を止めると1~3日後に生理がきます(実薬は2週間以上お飲みください)。