低用量ピルFAQ
低用量ピルについて
低用量ピルは女性ホルモンである卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤です。
排卵抑制作用と子宮内膜の増殖抑制作用があり、避妊に役立つだけでなく、月経痛や過多月経、月経不順、PMS、ニキビなどの症状を改善するはたらきもあります。
日本における避妊方法はコンドームや膣外射精など男性主体が90%以上を占め、低用量ピルによる女性主体の避妊は、欧米が50%であるのに対し、本邦は4%程度とまだまだ普及してはいません。
出産できない時期には確実な避妊を行い、自分自身を守ることはとても大切なことです。
そのためには低用量ピルに対する理解が必要です。
以下に当院で多いご質問をまとめています。
低用量ピルについてのFAQ
Q
低用量ピルのメリットはなんですか?
A
低用量ピルによる避妊は
①簡便で避妊効果が高い
②避妊を女性が主体で行える
③高い避妊率
という特徴があります。
Q
避妊以外の効果はありますか?
A
低用量ピルの避妊以外の主な効果としては
①生理痛の軽減
②出血量の減少
③月経不順の改善
④子宮内膜症の進行抑制
⑤子宮体がん、卵巣がん、大腸がんのリスク低下
⑥骨粗しょう症の予防
⑦ニキビの改善
⑧月経期間の短縮
⑨月経前症候群(生理前の体調不良)の改善が挙げられます。
Q
副作用はどのようなものがありますか?
A
メリットが多いイメージですが、わずかながら副作用もあります。
主な副作用は
①吐き気
②胸(乳房)が張る
③不正出血
④頭痛
⑤下腹部痛
⑥むくみ
これらが起こる確率は数パーセントです。
基本的には3か月ほど内服を継続することで消失していきますが、まれに症状が持続する場合があるので、その際は医師にご相談下さい。
Q
ピルを飲むと太りますか?
A
ピルに含まれるプロゲステロンは体に水分をため込む作用があるため、数パーセントの方で体のむくみを生じます。
これが『ピルは太る』と言われている原因です。むくみは水分過多の状態であり、脂肪が増えたわけではないので、ピルを中止すれば元の体型に戻ります。
また現行品のピルはプロゲステロンの減量によりむくむ確率はかなり少なくなっています。
Q
血栓症が心配です。
A
一番心配な血栓症ですが、
ピルを内服していた場合の血栓症のリスクは10000人当たり3~9人と言われています。
因みにピルを内服していない方が血栓症を起こす確率は10000人あたり1~5人です。
この数字を見ると心配される方もいるかもしれませんが、妊婦さんの血栓症は10000人あたり5~20人、産後は40~65人と、ピル服用よりも妊娠と出産に関わる発生頻度の方がかなり高率です。
このためピルは望まない妊娠を防ぐことで、女性の死亡率を減少させると言い換えることもできます。
Q
どのような場合、処方してもらえないのでしょうか?
A
メリットの多い低用量ピルですが、使用をお勧めできない場合もあります。
・乳癌の患者さん(完治後や家族歴のみでは禁忌となりません)
・血栓症の既往や素因
・35歳以上のヘビースモーカー
・重症高血圧
・重症糖尿病
・片頭痛もち
・妊娠中のヘルペスの既往
・産後3週間以内、授乳開始6週以内(産後6か月以降は投与に制限はありません)
Q
内服をはじめるのはいつからでしょうか?
A
内服スタートは月経開始3日目からを基本とします。
(月経初日とする医療機関もありますが、初日からの場合、出血が持続するケースがあります)
Q
性交渉はいつから安全でしょうか?
A
避妊具なしの性交渉は8日目以降としてください。
内服開始から7日間はコンドームなどの避妊具を用いるようにしてください。
Q
飲み忘れてしまいました。
A
1日飲み忘れた場合は、24時間以内に速やかに1錠を内服します。
2日以上服用を忘れた場合は、なるべく早く1錠を内服し、残りの錠剤は予定通り服用します。
また7日以上連続服用するまでは、コンドームを使用するか、性交渉を避けてください。
Q
生理痛や生理前の体調不良にも効きますか?
A
生理痛には高い効果があります。2シート目内服で約60%、3シート目内服で約80%の改善が得られ、長期間継続するほどに症状は消退していきます。
(内服を継続しても改善しない場合が一定の割合であります)
また月経前症候群(生理前のイライラ、嘔気など)に対しても高い効果があります。
Q
生理の移動もできますか?
A
可能です。
生理を早める方法
生理開始5日以内に内服をスタートして生理を前倒しさせます。
この場合は1相性の低用量ピルを用います。ピルは14日以上内服していただきます。
生理を遅れさせる方法
次の生理まで日数が少ない場合は生理を遅れさせます。
この場合は中用量ピルを用います。
生理移動の成功率は生理を早める方法に劣ります。
Q
ピルをやめた後に妊娠できなくなることはないですか?
A
ピルを中止後、3か月以降は通常に妊娠可能です。
また過去に内服をしていたことが、その後の妊娠率には影響しません。
Q
まとめて数ヶ月分を処方してもらえますか?
A
何か月分でもお出しが可能です。
Q
ピルによる乳癌のリスクが心配です。
A
他国のデータでは乳癌発症のリスクを上昇させるという報告もありますが、日本において現在までに乳癌発症リスクの上昇は確認されてはいません。
ただし血縁者に乳癌の方がいる場合は慎重投与とされているので、医師にご相談をください。
Q
いつも決められた時間に飲むのを忘れてしまいました。
A
可能な限り同時刻に内服するのが理想ですが、実際には半日ずれても大きな問題にはなりません。
『1日1錠』と考えてください。
その他、ご不明な点がございましたら、無料メール相談も承っております。